スマートウォッチのOS事情

目次
- スマートウォッチのOSは群雄割拠
- スマートウォッチ市場を牽引する「Apple Watch」シリーズが使用する「watchOS」
- Googleが進める「WeaOS by Google」だが、スマートフォンメーカーは採用せず
- Appleを猛追するHUAWEIが開発するウェアラブル端末向け軽量OS「LiteOS」
- SAMSUNGが「Tizen」をベースにして開発した独自のウェアラブル向けOS「Tizen Based Wearable OS」
- 本格的に日本市場に参入したXiaom(シャオミ)が手掛けるスマートウォッチ向けOS「MIUI for Watch」
- 多くのFitbit製フィットネストラッカーに搭載されている「FitOS」今後のGoogleとの連携にも注目!?
- スポーツ、健康管理、決済などコアなニーズに応えるGarmin製品に搭載された独自OS「Garmin OS」
- スマートウォッチOSでは苦戦するGoogleこのままAppleの快進撃がつづくのか!?
- スマートフォンメーカー、スポーツ・フィットネスに関連企業などの動きにも注目!
スマートウォッチのOSは群雄割拠
スマートフォンのOS(オペレーティングシステム)といえば、Googleの「Android」とAppleの「iOS」が有名、PCといえば、一般にはMicrosoftの「Windows」とAppleの「macOS」が広く知られている。
ユーザーにとって、OSはデバイスの機能や操作性、マーケットからアプリの追加ができるかどうかが決まる重要な部分だ。
また、オリジナルアプリを作ってみたいと思っているアプリ開発者にとって、どのメーカーのどのデバイスで、どのOSが搭載されているのか、どのようなアプリ開発環境が提供されているのか関心が高いと思う。
さて、スマートウォッチ向けのOSにはどのようなOSがあるのかご存じだろうか?
「どうせスマートフォンと同じで、GoogleとAppleが激しく競っているんでしょ?」
と思った方は驚くと思うが、現在、スマートウォッチOSは各社が独自のOSの開発を進めており、まさに群雄割拠の時代に突入している。
スマートウォッチ市場を牽引する「Apple Watch」シリーズが使用する「watchOS」
WatchOS
「Apple Watch」シリーズを販売するAppleにより設計・開発された「Apple Watch」シリーズ専用のOS。iPhoneの向けのOS「iOS」の機能をベースにしているため、iOSと共通する機能が多い。
アプリマーケット「App Store」に公開されている「Apple Watch」専用アプリをインストールできる。
当初、「Apple Watch」シリーズは、他のApple製品シリーズ「iPhone」「iPad」「Mac」に比べて注目度が低かったが、スマートフォン、タブレット、PCからの操作では面倒になる日々の健康状態や運動実績の記録や決済などのストレスを解消するツールとして徐々に注目が高まっている。
WatchOSを搭載する主な製品
- Apple 「Apple Watch 5」
- Apple 「Apple Watch 4」
- Apple 「Apple Watch 3」
Googleが進める「WeaOS by Google」だが、スマートフォンメーカーは採用せず
WearOS by Google
スマートフォンで多く使用されているGoogleのOS「Android」をベースにして、スマートウォッチ向けに設計されたOS。以前は「Android Wear」という名称だった。
アプリマーケット「Google play」に公開されている「WearOS」専用アプリをインストールできる。
CASIOやSUUNTOなど様々なメーカーのモデルで導入されている。
しかし、SAMSUNGやHUAWEIなどのスマートフォンメーカーは、自社のスマートフォンウォッチに「WearOS」は採用せず、自社で開発した独自OSを採用している。
「WearOS by Google」を搭載する主な製品
- Suunto 「SUUNTO 7」
- TicWatch 「TicWatch E2」
- FOSSIL 「THE CARLYLE HR ブラックシリコン ジェネレーション5スマートウォッチ」
- カシオ 「プロトレックスマート WSD-F30-W」
- プロトレックスマート WSD-F30
- プロトレックスマート WSD-F21HR
Appleを猛追するHUAWEIが開発するウェアラブル端末向け軽量OS「LiteOS」
Huawei LiteOS
中国HUAWEIが開発を進めており、ウェアラブル端末からコネクテッドデバイスまで、あらゆる機器で動作することを目的に開発された軽量OS。
「HUAWEI WATCH」などHUAWEIのスマートウォッチやフィットネストラッカーで導入されている。
「LiteOS」を搭載する主な製品
- HUAWEI Watch GT2
- HUAWEI Watch GT2e
- HUAWEI Watch GT Sports
SAMSUNGが「Tizen」をベースにして開発した独自のウェアラブル向けOS「Tizen Based Wearable OS」
Tizen Based Wearable OS
韓国SAMSUNGが中心となって開発を進めているウェアラブルデバイス向けOS。
ベースとなっている「Tizen」は、もともとはスマートフォン、家電、車載器などで広く搭載されるOSの開発を目指し、その開発に、SAMSUNGの他にも、モトローラー、NEC、NTTドコモ、パナソニックモバイルコミュニケーションズ、ボーダフォンなど多くのメーカーや携帯電話会社が参加していた。
しかし、当初計画されたスマートフォンでは「Tizen」の導入が進まず、日本や欧米の企業が撤退し、最後まで開発に取り組んだSAMSUNGも2018年に「Tizen」搭載スマートフォンの開発を中止した。
その後、SAMSUNGが「Tizen」をベースにしてウェアラブルデバイス向けの独自OSを開発し、現在はそのOSをスマートウォッチ「Galaxy Watch」シリーズに搭載している。
アプリマーケット「Galaxy Store」に公開されている「Galaxy Watch」専用アプリをインストールできる。
「Tizen Based Wearable OS」を搭載する主な製品
- SUMSNG 「Galaxy Watch」
- SUMSNG 「Galaxy Watch Active2」
- SUMSNG 「Galaxy Watch Active」
本格的に日本市場に参入したXiaom(シャオミ)が手掛けるスマートウォッチ向けOS「MIUI for Watch」
MIUI for Watch
中国Xiaomiのスマートウォッチ「Mi Watch」やフィットネストラッカーで搭載しているOS。
「Wear OS by Google」をベースにした独自OS。
Xiaomiが運営するアプリストアから専用アプリのインストールが可能。
「Mi Watch」などXiaomi製品が本格的に日本市場に投入されるのは、もう少し先になりそうだが、2019年は、SUMSUNG、HUAWEI、APPLEに次ぐ世界第4位のスマートフォンメーカーなので、今後の動向に注目したい。
「Mi Watch」製品紹介動画
多くのFitbit製フィットネストラッカーに搭載されている「FitOS」
今後のGoogleとの連携にも注目!?
Fitbit OS
Fitbitが自社のフィットネストラッカーやスマートウォッチ向けに開発したOS。
「Fitbit API」が公開されており、開発者はFitbit で取得したデータを活用する独自のアプリケーションの開発が可能。
Fitbitの買収を発表したGoogleが、今後「Fitbit OS」と「Wear OS by Google」を統合するのか、あるいはGoogleが提供しているスマートフォン向け健康管理アプリ「Google fit」に「Fitbit OS」や「Wear OS by Google」を搭載したデバイスが連携できるようになるのか今後の展開に注目が集まっている。
「Fibit OS」を搭載する主な製品
- Fitbit 「Fitbit Inspire」
- Fitbit 「Fitbit Inspire HR」
- Fitbit 「Fitbit Charge 4」
- Fitbit 「Fitbit Versa2」
- Fitbit 「Fitbit Lite」
- Fitbit 「Fitbit Ionic」
スポーツ、健康管理、決済などコアなニーズに応えるGarmin製品に搭載された独自OS「Garmin OS」
Garmin OS
Garminのウェアラブルデバイスやサイクルコンピューターで使用されているOS。
スマートウォッチを使った非接触キャッシュレス決済「Garmin Pay」に対応してる。
「Connect IQ」に対応しているGARMIN製スマートウォッチは、「Connect IQ Store」で公開されているアプリをインストールできる。
Garmin Connect IQ Developer(開発者用サイト)
「WearOS by Google」を搭載する主な製品
- GARMIN 「vivo active3」
- GARMIN 「ForeAthlete 645」
スマートウォッチOSでは苦戦するGoogle
このままAppleの快進撃がつづくのか!?
世界のスマートフォンのOS市場では、「Android」でおよそ7割のシェアを獲得しているGoogle。
しかし、スマートウォッチOSではスマートウォッチメーカー各社が独自のOSの開発やアプリマーケットの構築を進めており、「Wear OS by Google」のスマートフォンのような存在感は示せていない。
対照的に、Appleは「Apple Watch」シリーズで搭載する「Watch OS」のバージョンアップを繰り返し、高機能化を進め、2020年 第1四半期時点で「Apple Watch」シリーズで世界のスマートウォッチ市場のトップを独走している。
スマートフォンメーカー、スポーツ・フィットネスに関連企業などの動きにも注目!
今後、「Apple Watch」シリーズに対抗するSAMSUNG、HUAWEI、Xiaomiといった世界大手のスマートフォンメーカーが開発するスマートウォッチOSやそのOSを搭載した製品が注目される。
また、GPSやスポーツ分野で強みをもつGARMINや、健康管理に特化したフィットネストラッカーで実績のなるFitbitの動向も目が離せない。
今後も成長が予想されるスマートウォッチ市場だが、そこにソニーやパナソニックなどの電機メーカー、タニタやオムロンなどこれまで国内でヘルス分野を得意としてきた企業の名前をみかけないのが少し残念だ。